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コラム

補助金・税制優遇
令和6年度概算要求(経産省・環境省)より、脱炭素・省エネ・再エネ関連で活用できる補助金を解説します!

先日、2024年度予算の概算要求額が各省より公表されました。

今回は、環境省と経産省の概算要求額と、再エネ・省エネ・脱炭素で活用できる補助事業を紹介します!

1.環境省概算要求額

概算要求額は以下の通り、2023年度と比較して、33%増となっております。

 令和5年度当初予算額令和6年度概算要求額・要望額 計令和6年度
(令和5年度比較)
一般会計1,490億円1,862億円25%
エネ特1,747億円2,455億円41%
一般会計
+エネ特
3,237億円4,317億円33%

環境省は昨年度から引き続き、炭素中立(ネットゼロ)、循環経済(サーキュラーエコノミー)、自然再興(ネイチャーポジティブ)が達成される経済・社会への転換を目指しています。

また環境省の不変の原点を追求する取り組みとして、「公害の防止や健康被害の補填・救済」と「東日本大震災・原発事故からの復興・再生」の二つを掲げています。

このような脱炭素社会の実現と不変の原点の追求という2つのコアミッションの実現という背景によって、環境省の概算要求額が昨年度に比べて増額しています。

2.経産省概算要求額

概算要求額は以下の通り、2023年度と比較して、13%増となっております。

 令和5年度当初予算額令和6年度概算要求額・要望額令和6年度 (令和5年度比較)
一般会計3,495億円4,286億円22%
エネ特7,052億円7,820億円11%
GX推進対策費4,896億円10,985億円124%増
特許特別会計1,454億円1,525億円4%増
一般会計
+エネ特
16,896億円24,615億円45%

経産省の政策の重点課題は以下2つです。
① 国内投資の拡大とイノベーションの加速を通じた新たな経済社会構造への転換
② 福島の復興/廃炉・汚染水・処理水の対策

これらに基づき、脱炭素社会の実現に向けた国内への投資や、物価高への対策として多額の補助金が用意されています。

それでは、ここからは令和6年度概算要求(法人向け脱炭素関連で使える)を紹介します。

3.【環境省】民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業

※令和6年度要求額 19,337百万円(令和5年度当初予算4,260百万円)

本事業は以下のように分けられます。

(1)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
(3)再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
(4)離島等における再エネ主力化に向けた設備導入等支援事業
(5)平時の省CO2と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル創出事業
(6)データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業
(7)公共施設の設備制御による地域内再エネ活用モデル構築事業

上記の補助金のうち、法人がオンサイトの自家消費型太陽光を導入する際に使える補助金が、
「(1)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」です。

(1)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業

本事業の太陽光発電設備の補助額は
①太陽光発電設備(定額)
・購入モデル:4万円/kW
・PPA・リース:5万円/kW
・戸建て住宅(PPA・リース):7万円/kW
 ※戸建て住宅の購入モデルは対象外
②蓄電池:定額(上限:補助対象経費の1/3)
③充放電設備:EVをV2H充放電設備とセットで購入する場合に限り、蓄電容量の1/2×4万円/kWh補助
④電気自動車:未公表(昨年度は車種別に一定額を上限に補助)
となっています。

また、(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業は、7つの補助事業に分けることができます。

(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業

①建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業(補助率1/3)
駐車場を活用した太陽光発電(ソーラーカーポート)について、コスト要件(※)を満たす場合に、設備等導入の支援を行う。
②地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業(補助率1/2)
営農地・ため池・廃棄物処分場を活用した太陽光発電について、コスト要件(※)を満たす場合に、設備等導入の支援を行う。
③窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業(補助率2/3、1/2)
住宅・建築物の再エネポテンシャルを最大限引き出し、太陽光発電設備の導入を促進するため、窓、壁等の建材と一体型の太陽光発電設備の導入を支援する。
④オフサイトからの自営線による再エネ調達促進事業(補助率1/2)
オフサイトに太陽光発電設備を新規導入し、自営線により電力調達を行う取組について、当該自営線等の導入を支援する。※令和6年度は、継続事業のみ実施し、新規募集はしない。
⑤再エネ熱利用・発電等の価格低減促進事業(補助率3/4、1/3、1/2)
地域の特性に応じた、再エネ熱利用、未利用熱利用(工場廃熱等)、自家消費型再エネ発電(太陽光発電除く)等について、コスト要件(※)を満たす場合に、計画策定・設備等導入支援を行う(温泉熱の有効活用のための設備改修含む)。
⑥熱分野・寒冷地での脱炭素化先行モデル創出事業地域(補助率3/4、2/3)
地域の再エネ電気・再エネ熱・未利用熱等を活用した、(a)熱分野でのCO2ゼロに向けたモデル、(b)寒冷地での脱炭素化のモデル、のいずれかに該当する先行的な取組について、その計画策定や設備等導入を支援する。
⑦新たな再エネ導入手法の価格低減促進調査検討事業(委託)
新たな再エネ導入手法に関する調査検討を行い、その知見を公表し、横展開を図る。

特に、ソーラーカーポートの導入を検討されている事業者さまは①の補助事業を活用すれば補助率が1/3出ますので、こちらをぜひご検討ください。

4.【環境省】工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)

※令和6年度要求額 9,000百万円(令和5年度当初予算3,685百万円)

①CO2削減計画策定支援(補助率: 3/4、補助上限: 100万円)
②省CO2型設備更新支援
 A:標準事業(補助率:1/3、補助上限:1億円)
 B:大規模電化・燃料転換事業(補助率:1/3、補助上限:5億円)
 C:中小企業事業(補助上限:0.5億円)
③企業間連携先進モデル支援(補助率:1/3、1/2、補助上限5億円)
④補助事業の運営支援(委託)

中小企業含む工場や事業所の脱炭素の主に計画を立てる際に使える補助事業となっています。

5.【経産省】省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費

※国庫債務負担行為要求額 192,500百万円 令和6年度要求額 91,000百万円(新規)

こちらは、工場・事業場における省エネ性能の高い設備・機器への更新の際に活用できる補助事業となります。

先進的な設備を導入する場合、補助率は、中小企業が2/3、大企業が1/2となっており、多額の補助を受けとることが期待できます。

6.【経産省】需要家主導による太陽光発電導入促進補助金

※令和6年度要求額 15,800百万円(令和5年度当初予算10,500百万円)

①需要家主導型太陽光発電導入支援事業 の場合、
機器購入等に対して条件に応じて2/3、1/2、1/3の補助率となります。

②再エネ電源併設型蓄電池導入支援事業 の場合、
蓄電池の購入等に対して条件に応じて1/2、1/3の補助率となります。

また申請を行う場合、以下のような要件を満たす必要があります。
・一定規模以上の案件
・複数案件合計でも可
・FIT/FIP活用不可
・自己託送不可
・電力供給期間は「8年以上」

今回ご紹介した補助金は、まだ「概算」の段階ではありますが、増額している補助事業も多くなっており、脱炭素社会の実現が加速しています。

来年度補助金の獲得に向けて、今から準備を進めておくことが重要です。
補助金を活用した省エネ・再エネの設備導入を検討されている方は弊社にご相談ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

引用元:
経産省:令和6年度概算要求・税制改正要望について
環境省:令 和 6 年 度 環 境 省 重 点 施 策 集

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