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1.オフサイト型太陽光発電とは?
オフサイトPPAをご説明するにあたりまずはオフサイトという言葉をご説明いたします。
太陽光発電にはオンサイトとオフサイトという二つの設置方法があります。
ここでの「オンサイト」と「オフサイト」とは、太陽光パネルなどの発電設備が自社敷地の「中」か「外」かを指します。
オンサイトの場合、事業所などの屋根や需要地の敷地内に太陽光発電設備を設置するような形態です。
一方でオフサイト型とは事業所などの敷地外である遠隔地の土地に発電所を設けてそこで発電された電気を需要地に供給する形となっています。
通常の自家消費では、発電所は自社の屋根や隣接地に立地していなければなりませんが、オフサイト型を活用すれば遠く離れた発電所からの電気を活用できるようになります。
<オフサイト型太陽光発電のメリット>
①屋根がなくても設置可能
オフサイト型を活用すれば、自社の屋根や土地に十分なスペースを確保できない場合であっても、太陽光発電で発電した電気を利用することができます。
また、屋根面積に縛られることがないのでお客様が求める量の電力を確保することができるため大規模な電気の供給を望む工場などの需要家からの注目が増えています。
②電気代削減効果
太陽光発電の電気を利用することで、電力会社から購入する電気量が少なくなるため、電気料金の削減に繋がります。
また、自社の屋根に十分なスペースがなくあまり電気代の削減を見込ないという場合にもこのオフサイト型を活用することで自家消費できる分を増やすことができるため、電気料金削減効果を高めることができるケースがあります。
③CO2の削減効果
太陽光発電はCO2を排出しないクリーンエネルギーですので、脱炭素への取り組みにつながります。法人は再エネ電気を調達することで、「RE100」や「再エネ100宣言RE Action」の達成にも貢献できます。
オフサイト型にも大きく2つの設置方法があります。それは「自己所有型(自己託送)」と「PPA型」の2つです。それぞれの特徴とメリットについてご紹介いたします。
2.自己託送(自己所有型)とは?
オフサイト型の中の自己所有型はいわゆる自己託送制度というものになります。
「自己託送制度」とは、2014年から始まった一般送配電事業者向けのサービスで、「発電所の名義」と「需要家の名義」が同一であれば、送配電線を介して電気の共有ができるサービスです。
この時の流れの中には小売電気事業者を介在させる必要がありません。
自己託送のメリットは、「再生可能エネルギー賦課金が不要であること」です。
再エネ特措法では、「小売電気事業者から電気の使用者に対して供給された電気」に対して賦課金を徴収すると規定されているため、自家消費や自己託送により使用された電気は、賦課金がかかる対象となっていません。
現状、再エネ賦課金は電気代を圧迫する大きな要因の一つになっていますので、再エネ賦課金が不要ということは大きなメリットとなります。
ただし、自己託送制度を活用するにはいくつか注意点があります。
それは、「託送料金」と「手数料」が発生するということです。
①託送料金
既存の送配電線を使用するための料金である、託送料金が発生します。
契約している電力会社や契約によって料金は異なりますが、高圧の場合相場としては約11円/kWh前後の料金がかかります。
②手数料
自己託送を利用する際には、電気の需要と発電量を30分単位で予測し、乖離がないように実際の需給と計画値を一致させていかなければなりません。この実績と計画値にずれが生じるとペナルティを課されてしまうことになります。
このインバランスの調整を独自にやることは難しいため、他社へ委託する場合が多く、その手数料を支払う必要があります。
3.オフサイトPPAとは?
まず、PPA(電力購入契約)とは、「第三者保有モデル」とも呼ばれ、初期費用無料・ランニングコストゼロ円で設置できるモデルです。
PPA事業者がお客様と一定期間の契約を結び、お客様の会社の工場やオフィスの屋根上、あるいは住宅の屋根に太陽光発電を無償で設置し、お客様が自家消費した分を電気代として、お支払いいただく仕組みとなっています。
このPPAモデルでは、PPA業者は太陽光で発電し使用された(自家消費分)の電気料金をお客様からお支払いいただく事で設置費用を回収します。
そのため設備導入時にお客様が費用を支払う必要はありません。
契約終了後、設置された設備はお客様のものとなります。
そのため契約終了後も電気代削減が可能です。
PPAについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【新潟】太陽光発電を初期費用0円で導入できる「PPAモデル」とは? – 省エネ・創エネ.com (sc-energy.com)
オンサイトPPAは、自社の屋根や敷地内の遊休地などに第三者が設置した発電設備から電力を購入するPPAモデルであり、対して、オフサイトPPAは、敷地外の遠隔地に設置された発電設備から送配電線を介して需要家設備へ送電した電力を購入するPPAモデルです。
メリットは大きく二つあります。
①発電量を屋根面積に縛られない
オフサイトでの導入であるため広大な土地に太陽光発電システムを設置することができます。
オンサイトによる屋根への設置の場合、太陽光発電システムを設置する面積に限りがありますが遠隔地の広大な土地の場合、大規模な太陽光発電システムを導入することができます。
そのため、屋根上設置以上のCO2排出量の削減と電気料金の削減に取り組むことができます。
②導入費用・メンテナンス費用無料
先述しましたが、PPAという導入方法の場合、導入の際に必要となる初期費用やメンテナンスなどのランニングコストが不要になります。
一方でオフサイトPPAの制度を活用する場合、需要家の倒産リスクが低いことが条件になります。
そのため、オフサイトPPAを活用する需要家は大手企業である場合が多いです。
費用や制度に関する各要件についてオンサイトPPAとオフサイトPPAで比較しました。
現段階では、オフサイトPPAモデルについては、再エネ賦課金が必要となるため、注意が必要です。
令和5年にオフサイトPPAで活用できる補助金には以下のものがあります。
需要家主導型太陽光発電及び再生可能エネルギー併設型蓄電池導入支援事業費補助金(経済産業省)
令和4年度補正予算 | 255億円のうち一部 |
令和5年度本予算 | 105億円のうち一部 |
概要 | ①需要家主導型太陽光発電導入支援 ②再エネ電源併設型蓄電池導入支援 |
①需要家主導型太陽光発電導入支援 | |
対象設備 | 機器購入等 |
補助率 | ■太陽光発電 ・自治体連携型:2/3 ・その他:1/2 ・蓄電池:1/3 |
対象 | 民間事業者および自治体 |
参考 | ① 一定規模以上(AC2MW)の案件 ② 複数案件合計でも可(平均で50kW超) ③ FIT/FIP活用不可 ④ 自己託送不可 ⑤ 電力供給期間は「8年以上」 ⑥ 令和4年度補正より蓄電池の導入も補助対象に |
令和4年度補正 公募スケジュール | 2次公募:4月3日~5月26日 |
②再エネ電源併設型蓄電池導入支援 | |
対象設備 | 蓄電池購入等 |
補助率 | 1/4 ※地域新電力への供給の場合は1/3 |
対象 | 民間事業者および自治体 |
参考 | ① FIP認定を受ける案件 ② 導入する蓄電池の単価が19万円/kWhであること ⇒蓄電設備の容量は発電設備容量の0.5倍(ACベース) または1000kWhのいずれか小さい方が下限/発電設備容量の 3倍が上限 |
令和4年度補正 公募スケジュール | 2次公募:4月10日~6月2日 |
中小企業が太陽光発電を導入する際に活用できる補助金や優遇税制についてはこちらの記事をご覧ください。
【令和5年度】新潟と東京の中小企業で活用できる優遇税制&補助金をわかりやすく解説! – 省エネ・創エネ.com (sc-energy.com)
4.最後に
近年高騰する電気代の対策として再生可能エネルギーの導入が拡大しています。
中小企業にとっては、倒産リスクの観点からオフサイトPPAの活用はハードルが高く、自家消費型太陽光の導入の方が容易で、効果的に電気代の削減をすることが可能です。
ご不明な点等ございましたらお問い合わせください。