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1.カーボンニュートラル投資促進税制とは?
カーボンニュートラル投資促進税制は、産業競争力強化法の計画認定制度に基づき、
1-1 大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備導入
1-2 生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備導入
に対して、最大10%の税額控除又は50%の特別償却が措置される税制です。
経済産業省によって実施されている事業となっており、令和5年度末まで適用されることが決まっています。
1-1 大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備導入
大きな脱炭素化効果を持つ製品「需要開拓商品」とは以下の機械装置を指します。
① 化合物パワー半導体
電力の制御若しくは電気信号の整流を⾏う化合物半導体素⼦⼜は当該素⼦の製造に⽤いられる化合物半導体基板が対象です。
② EV⼜はPHEV向けリチウムイオン蓄電池
電気⾃動⾞⼜はプラグインハイブリッド⾃動⾞を構成するリチウムイオン蓄電池が対象です。
③ 定置⽤リチウムイオン蓄電池
7,300回の充放電後に定格容量の60%以上の放電容量を有するものが対象です。
④ 燃料電池
定格運転時における低位発熱量基準の発電効率が50%以上であるもの若しくは総合エネルギー効率が97%以上であるもの⼜は⽔素のみを燃料とするものが対象です。
⑤ 洋上⾵⼒発電設備の主要専⾨部品
洋上⾵⼒発電設備(⼀基あたりの定格出⼒が9MW以上であるものに限る。)を構成する商品のうち、次に掲げるものが対象です。
ナセル、発電機、増速機、軸受、タワー、基礎。
これらの設備投資に対して税額控除10%⼜は特別償却50%の適⽤を受けることができます。
1-2 生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備導入
「生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備導入」は、前述の「需要開拓商品」以外で、CO2排出量を削減できる設備を対象とし、炭素生産性によって税額控除の内容が変わります。
<炭素生産性の相当程度の向上と措置内容>
3年以内に10%以上向上→税額控除10%又は特別償却50%
3年以内に7%以上向上→税額控除5%又は特別償却50%
炭素生産性は、
炭素生産性=付加価値額÷エネルギー起源CO2排出量
で計算されます。
付加価値額:5,000万円
CO2排出量:500トン/CO2だった場合、
50,000,000÷500,000=100
炭素生産性は100となります。
この状態から3年間で設備導入により電気代を150万円削減し、CO2排出量を50トン/CO2減らした場合、
付加価値額:5,150万円
CO2排出量:450トン/CO2となり、
51,500,000÷450,000=114.4
炭素生産性は114となり、炭素生産性は14%向上することとなります。
この場合「3年以内に10%以上向上」の計画認定の要件を満たし、「税額控除10%又は特別償却50%」が適用されます。
2.カーボンニュートラル投資促進税制の活用方法
「大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備導入」は、前述の通り下記の設備導入が対象です。
① 化合物パワー半導体
② EV⼜はPHEV向けリチウムイオン蓄電池
③ 定置⽤リチウムイオン蓄電池
④ 燃料電池
⑤ 洋上⾵⼒発電設備の主要専⾨部品
「生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備導入」の対象設備は要件で決まっておりません。
〇照明器具を最新のLEDに交換
〇空調設備を高効率なものに交換
〇工場の生産設備を燃費の良いのものに交換
〇太陽光発電設備の導入
など幅広く適用されます。
ただし、設備導入前後の「炭素生産性の向上率」が1%未満になると税制対象外となります。
例えば、設備導入前が
付加価値額:5,000万円
CO2排出量:500トン/CO2だった場合、
50,000,000÷500,000=100
で炭素生産性は100となります。
「ファン」の導入で、10万円の電気代削減効果があり、CO2排出量を2トン/CO2減らした場合、
付加価値額:5,010万円
CO2排出量:498トン/CO2
50,100,000÷498,000=100.602
で炭素生産性は100.6となります。
この場合の炭素生産性の向上率は0.6%となり、条件を満たしませんので税制対象外となります。
炭素生産性の向上率については、算定根拠が分かる資料の提出が必須となります。
3.太陽光発電導入で活用できる税制
来年度に太陽光発電システムの導入で活用できる税制は以下3つです。
カーボンニュートラル投資促進税制 | 中小企業経営強化税制 | 中小企業投資促進税制 |
3年以内に炭素生産性10%以上向上 →特別償却50% 又は税額控除10% 3年以内に炭素生産性 7%以上向上 →特別償却50% 又は税額控除5% | 資本金3,000万円以下の法人及び個人事業主 →即時償却 又は10%の税額控除 資本金3,000万円超~1億円以下の法人 →即時償却 又は7%の税額控除 | 資本金3,000万円以下の法人及び個人事業主 →30%の特別償却 又は7%の税額控除 資本金3,000万円超~1億円以下の法人 →30%の特別償却のみ |
令和5年度末まで | 令和7年度末まで | 令和47年度末まで |
優遇税制や補助金に関する詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。
【令和5年度】新潟と東京の中小企業で活用できる優遇税制&補助金をわかりやすく解説! – 省エネ・創エネ.com (sc-energy.com)
4.最後に
本税制を利用する際に留意すべきこととして、検討開始から事業適応計画の認定を受けるまでは通常3カ月~6カ月程度を要することが挙げられます。
そのため支援を得るためには、締め切りから逆算してスケジュールを組み、計画的に情報取得や申請等を行うことが重要になります。
カーボンニュートラル投資促進税制を活用して、投資費用を軽減しながら太陽光発電を導入してみてはいかがでしょうか。
太陽光発電・省エネ設備の導入をするなら弊社にお任せください!
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