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コラム

コラム
タイにおける脱炭素活動

環境省 コ・イノベーションによる脱炭素技術創出・普及事業 結果報告

2024年3月に、かねてよりタイで進めて参りました環境省の「コ・イノベーションによる脱炭素技術創出・普及事業」としての省エネ技術実証実験が終了いたしましたので報告させていただきます。

コ・イノベーションによる脱炭素技術創出・普及事業とは

質の高い環境技術・製品のカスタマイズ・普及を通じて脱炭素社会を構築し、我が国と相手国の協働を通じて、双方に裨益のあるイノベーション(コ・イノベーション)を創出することにより、二国間クレジット制度を通じた我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成に資するとともに、将来的に国内への技術の還流及び国内のCO2排出削減につなげていくことを目的とした環境省の事業です。(環境省HPより)

二国間クレジット(JCM)とは

二国間クレジット・メカニズム(JCM)とは、日本が途上国に環境技術を移転することにより生じる温室効果ガスの排出削減効果を、日本の国別排出削減目標に算入することができる国際協力の枠組みです。

日本はこの枠組みを実施するために、相手国と政府間協定を締結し、事業の審査基準や排出削減量の計算方法を共同で策定しています。この枠組みにより、日本は、途上国に低炭素技術を普及させることで気候変動対策に貢献するとともに、国内の技術開発や産業競争力の強化にもつなげることができます。

現在下記の29か国と協定を締結しています。

JCM締結済みの国
モンゴル・バングラデシュ・エチオピア・ケニア・モルディブ・ベトナム・ラオス・インドネシア・コスタリカ・パラオ・カンボジア・メキシコ・サウジアラビア・チリ・ミャンマー・タイ・フィリピン・セネガル・チュニジア・アゼルバイジャン、モルドバ、ジョージア、スリランカ、ウズベキスタン、パプアニューギニア、アラブ首長国連邦(UAE)、キルギス、カザフスタン、ウクライナ

たとえば、タイとの間では、太陽光発電や省エネルギー機器の導入、廃棄物の再利用、水素エネルギーの活用など、さまざまな分野でJCM事業が実施されており、これらの事業により、タイの温室効果ガスの排出削減に貢献するとともに、日本の技術や製品の市場拡大にも寄与しています。

わが社の挑戦・・・省エネシステム「エコ・ビジョン」を海外に

モニタリング画面

エコ・ビジョンとは

セントラル(水冷式)空調設備の冷温水、冷却水ポンプをインバータで制御し、ポンプの消費電力を大幅に削減するシステム。特許取得済みのオリジナルシステムで、国内の病院、福祉施設、ホテル、ショッピングセンター、商業ビルなどに約100件の実績があります。平均削減率は約80%です。

詳しくはこちら→ https://www.sc-energy.com/energy-saving/iot

病院に設置された制御盤

タイでの実証実験

日本とは異なる気候、設備環境にエコ・ビジョンを設置し、

  • 熱帯地域での空調制御による脱炭素の可能性の考察
  • 夏の高温化が進む日本での省エネ技術開発

につなげていくと言う観点でタイでの実証に臨みました。

事業開始は2020年でしたが、開始直後からコロナによりタイに入国できず、現地の方々のご協力の下、遠隔で調査・工事・測定を行わざるを得ませんでした。予定よりも2年ほど時間がかかりましたが、この3月で無事終了しました。

実験の概要・結果

今回の実験の概要及び結果は以下の通りです。

1. 常時冷房環境における年間を通じた省エネ制御の効果検証

→平均約50%の削減
朝晩、乾季・雨季の差が無い→年間通じて安定した削減

2. タイでの多様な運転、設備設計に対応した省エネ制御の効果検証

設備の特徴(日本との違い)

➀熱源とポンプが連動していない。
➁ヘッダーがない
③能力の異なる熱源、容量の異なるポンプが混在している
④熱源、ポンプの稼働は、自動制御でない(オペレーターによる手動)

上記の環境下におけるポンプの制御→平均30%の削減

経済性・・・削減データ・投資回収(施設合計)

考 察・・・実験結果から

日本(温帯地域)ほど大きくはないが、省エネの効果は十分に発揮できている。設備の条件により異なるが、ある程度の経済性も見込めるので、本システム(エコ・ビジョン)は、タイ及び他の熱帯地域において、セントラル空調設備によるCO2排出量の削減に貢献できるものと考えられる。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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