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コラム

脱炭素
COP27についてわかりやすく解説!

1.COPとは

COP(Conference of the Parties)とは「国連気候変動枠組条約の締約国会議」のことです。
2022年11月6日から11月20日にかけてエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催され、今回は第27回目の会議だったことに基づき「COP27」と略されます。

COPには約200の国と地域が参加しており、気候変動の取り組みについて議論します。

国連気候変動枠組条約において「大気中の温室効果ガス濃度を安定させて、人間活動による気候システムへの危険な干渉を防ぐ」ことを各国が合意しました。

これまでの国連気候変動枠組条約に関する歴史は以下のようになっています。

1994年気候変動枠組み条約の発効
1995年ベルリン・マンデート採択(COP1)
1997年京都議定書採択(COP3)
1998年ブエノスアイレス行動計画採択(COP4)
2015年パリ協定採択(COP21)
2016年パリ協定のルール作りの工程表を採択(COP22)
2017年パリ協定に向けたルール作りの交渉加速化に合意(COP23)
2018年パリ協定のルール作りの完成(COP24)
2019年温室効果ガス削減目標の引き上げ、パリ協定の実施に向けたルール作り(COP25)
2021年グラスゴー気候合意採択(COP26)
2022年グラスゴー気候合意で示した目標を盛り込んだ「ノンペーパー」を公表(COP27)

2015年にはCOP21にてパリ協定が採択されました。
この協定では温室効果ガス排出削減のための国際的な枠組みが決められました。

パリ協定の目標達成のための行動指針の策定が現在まで続くCOPでの論点となっています。

パリ協定の概要は以下でまとめています。

・世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること。
・主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること。
・全ての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。
・適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、適応報告書の提出と定期的更新。
・イノベーションの重要性の位置付け。
・5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組み(グローバル・ストックテイク)。
・先進国による資金の提供。これに加えて、途上国も自主的に資金を提供すること。
・二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用。
引用:外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html

そして前回のCOP26で決まった内容は大きく3つでした。

①2025年までに2019年比で先進国からの適応資金を少なくとも倍増させる
日本を含め、すでに適応資金の倍増を表明した先進国もあるほか、多くの先進国が途上国への具体的な適応支援を表明しています。

②適応に関する世界全体の目標(GGA)ついての具体的な議論を開始
2022年〜2023年の2か年計画として、「GGAに関するグラスゴー・シャルムエルシェイク作業計画」を設置することが決定しました。

③損失と損害のための資金調達の可能性について議論を継続
資金ファシリティ設立の議論を継続するために「損失と損害に関するグラスゴー対話」を立ち上げ、2024年までに結論が出されることが決まりました。

参考:IGES https://www.iges.or.jp/sites/default/files/inline-files/20221004_shiiba.pdf

COP26の決定事項を踏まえた上でCOP27の論点を見ていきましょう。

2.COP27での論点

COP27の議長国となったエジプトは、途上国の立場や懸念を強く反映し、以下のような優先課題を掲げました。

・「適応」を着実に実現していくこと。
・「損失と損害」への具体的な行動を起こすこと。
・「資金」の流れを現実のものとすること。
・円滑で「公正な移行」(ジャスト・トランジション)を進めること。

「適応」と「損失と損害(ロス&ダメージ)」の事例を以下でまとめております。

気象災害の場合海面上昇の場合
影響台風の激甚化と洪水の増加海面上昇による居住地域の浸水
適応リスク管理体制の拡充浸水対策
市民の防災意識の向上浸水前の計画的な移住
損失と損害家屋や重要施設の浸水農地の浸水
逃げ遅れによる人的被害生計手段の喪失

引用元:https://www.iges.or.jp/jp/events/20221004

これらの課題を解決する上でネックとなっているのが「資金」です。

途上国は先進国が際限なく排出する温室効果ガスによって引き起こされた自然災害の被害を訴えています。
そのため途上国は先進国に対して十分かつ適切な資金援助を保証するように呼びかけていました。
一方で先進国は温室効果ガス排出量に対する責任の増大に神経質になっており、途上国と先進国との間で対立構造が生まれ何年にも渡り議論が続いておりました。

その議論の結果、今回のCOP27の成果文書にて気候変動による「損失と損害」の被害にあった途上国に対して支援を行うための新たな基金を作ることが合意されました。

今回、パリ協定以降続いていた「損失と損害」に関する議論に終止符を打ったことはCOPの歴史において大きな転換点となりました。

3.日本の「損失と損害」への取り組み

西村康稔環境大臣は2022年11月15日に、「損失と損害」を受ける途上国への支援策として、世界銀行の枠組みへの資金拠出を検討すると表明しました。
また、日本の支援内容を「日本政府の気候変動の悪影響に伴う損失及び損害(ロス&ダメージ)支援パッケージ」として公表しています。

支援パッケージに含まれる項目は以下の通りです。
(1) 日本が提供する事前防災から災害支援・災害リスク保険までの総合的な支援
(2) ナレッジベースの知見共有等
(3) 国連や多国間枠組等への貢献
(4) 官民連携による気候関連サービスや技術の海外展開促進

引用元:環境省PDF

4.日本が3度目の化石賞受賞

COP25、COP26に引き続きCOP27にて3度目の化石賞を受賞しました。

化石賞とは気候変動対策に対して積極的でない国に対して、環境NGO「Climate Action Network(CAN)」から送られる不名誉な賞のことです。

この賞を受賞した理由は日本が化石燃料に対しての世界最大の公的資金拠出国であるからです。
日本は2019年から2022年までの3年間で、化石燃料に対して公的支援で合計318億ドル(約4兆7700億円)を拠出しており、世界で一番多い国となりました。

日本が公的資金で気候を守るためではなく気候に悪い影響を与えるために使っているという事実に諸外国から厳しい視線を浴びています。
日本の早急な脱化石燃料のための具体策が世界から求められています。

日本の脱炭素化を進めるために、今後中小企業も脱炭素化を求められることが予想されます。

脱炭素化による企業価値の向上や電気代削減のために、省エネ設備、太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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