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1.カーボンオフセットとは
カーボンオフセットを日本語に訳すと、カーボンは「炭素」、オフセットは「埋め合わせる」となります。
すなわちカーボンオフセットとは「炭素を埋め合わせる」ことを意味します。
地球温暖化対策としてCO2などの温室効果ガスの排出をできるだけ減らす必要があります。
そのため、企業や自治体は日常生活や経済活動の中で無駄な温室効果ガスの排出量をできるだけ減らすような努力を行いますが、どれだけ努力しても削減が困難となる排出が一定量存在してしまいます。
排出削減ができない部分に関しては温室効果ガスの削減・吸収活動に投資することによって埋め合わせるという考え方をカーボンオフセットと呼びます。
具体的には温室効果ガス削減の活動に投資することや、温室効果ガス削減の証明をクレジットとして購入することなどがあります。
2.カーボンオフセットに取り組む方法
環境省はカーボンオフセットに取り組むにあたって3つのフローに分けています。
出典:環境省「カーボン・オフセットガイドライン Ver2.0」
①知る:CO2の排出量の算定
②減らす:CO2の削減努力の実施
③オフセット:削減しきれないCO2をクレジットの購入で埋め合わせる
このような流れでカーボンオフセットを進めていきます。
カーボンオフセットは形の無いものの取引であるため、一般的にイメージしにくい取組であると言われています。
そのため上記の3つの流れの前に「準備」、後に「情報提供」を適切に行うことが重要になります。
始めの「準備の」段階では
①目的の確認
②使用クレジットの検討
③管理体制の構築
④オフセット主体の明確化
これら4つの流れで取組内容を決めていかなければなりません。
また最後に行う「情報提供」ではカーボンオフセットの取組の透明性と信頼性を高めるためにできるだけ多くの情報を一般に公開することが望まれます。
3.カーボンオフセットの主な取組
カーボンオフセットの主な取組みとして例を交えてご紹介いたします。
取組の類型 | 誰が(クレジットの無効化を行う主体) | 何を(オフセット される排出) |
①オフセット製品・サービス | 製品の製造者/販売者 サービス提供者 | 製品・サービスのライフサイクルを通じて排出される温室効果ガス排出量 |
②会議・イベントのオフセット | 会議・イベント主催者 | 会議・イベント開催に伴って排出される温室効果ガス排出量 |
③自己活動オフセット | 企業 | 自社の事業活動に伴って排出される温室効果ガス排出量 |
④クレジット付製品・サービス | 製品の製造/販売者 サービス提供者 会議・イベント主催者 | 製品・サービスの購入者やイベントの来場者の日常生活に伴って排出される温室効果ガス等 |
⑤寄付型オフセット | 製品の製造/販売者 サービス提供者 会議・イベント主催者 | ※地球温暖化防止活動の貢 献・資金提供のために実施するものであり、特定の排出量をオフセットするものではない |
出典:環境省「カーボン・オフセットガイドライン Ver2.0」
①オフセット製品・サービス
商品を製造・使用・廃棄したり、サービスを提供・利用したりする際に排出される温室効果ガス排出量をオフセットする取組です。
例:住友スリーエム株式会社(自社製品7種類のライフサイクルにおけるCO2排出量をオフセット)
②会議・イベントのオフセット
国際会議やコンサート、スポーツ大会等の開催に伴って排出される温室効果ガス排出量をオフセットする取組です。
例:宇部市(山口県)が「カーボン・オフセットの仕組みの普及・啓発」を目的に行った各イベントにおいて、来場時の交通に係るCO₂排出量をオフセット。
0.22t-CO2 (100名参加) /約0.5t-CO2 (60名参加)/約6t (2000名×2日)
③自己活動オフセット
自らの活動、例えば組織の事業活動に伴って排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取組です。
例:アースサポート株式会社が2010年1月から2011年9月における、収集車両・営業車両・工場内・場内重機・電力使用によって 発生したCO2排出量80.39t-CO2のうち一部をバウンダリとして設定し72t-CO2をオフセット。
参考:経済産業省 カーボンオフセットの取組事例
④クレジット付製品・サービス
企業が製品・サービスやチケットにクレジットを付し、製品・サービスの購入者やイベントの来場者等の日常生活に伴う温室効果ガス排出量の埋め合わせを支援する取組です。
クレジットを購入する方法の一つとしてJ-クレジット制度というものがあります。
J-クレジット制度とは省エネ設備の導入や再エネの利用による温室効果ガスの削減量や適切な森林管理による温室効果ガスの吸収量を「クレジット」として国が認証する制度のことです。
J-クレジットを購入することによって環境貢献企業としてのPR効果や、企業評価の向上、製品・サービスの差別化、ビジネス機会獲得・ネットワークの構築が可能などのメリットがあります。
⑤寄付型オフセット
企業が地球温暖化防止活動の貢献・資金提供を目的として参加者を集め、消費者がその活動に参加することによってオフセットする取組です。
カーボンオフセットに取り組むことはその企業だけのものではなく、その地域や商品を購入する人々が環境問題に取り組む機会を与える効果もあります。
このようにカーボンオフセットには様々な取り組み方があります。皆様も本記事で示した流れに沿って取り組んでみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。