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今、企業の脱炭素への取り組みが高まっている中で、知っておくべき「Scope」や「サプライチェーン排出量」の意味について解説いたします!
これらは脱炭素への取り組みにおいて重要となる指標ですのでこれらの意味は正しく理解しておきましょう。
1.脱炭素の高まり
まず、今脱炭素が重要視されている背景についてご説明いたします。
2020年10月26日、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。その後、国として脱炭素に向けた動きが加速しています。
経済界においても、脱炭素への取り組みを実施していない企業が「得意先から取引を中止される」あるいは「投資家から評価を下げられる」といった動きも出てきており、脱炭素に取り組んでいるかどうかがビジネスにおいても大きな意味を持つようになってきたのです。
脱炭素に関する詳細な情報についてはこちらでも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
「企業が脱炭素を達成する方法とは?再エネ電力の導入方法を解説!」を読む>>
2.サプライチェーン排出量とは?
ここからは脱炭素への取り組みを始める企業様には抑えていただきたい「サプライチェーン排出量」について解説いたします。
サプライチェーン排出量とは事業者自らの排出量だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出量を合計したものを言います。つまり、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体から発生する温室効果ガス排出量のことです。
サプライチェーン排出量は以下のようにして算出されます。
サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量 |
下記に示すようにサプライチェーン排出量はサプライチェーンの上流から下流のすべての過程で排出された温室効果ガスを計測します。
カーボンニュートラルを達成するためには自社がどれだけの温室効果ガスを排出しているのかをきちんと理解しておく必要があります。
また、サプライチェーン排出量を算定することで、サプライチェーンにおいて排出量の多い部分や、削減ポテンシャルの大きい部分を明確にできるため、カーボンニュートラルを達成しやすくなります。
それだけでなく、サプライチェーン排出量を可視化し公表することで、投資家、消費者、地域住民などステークホルダーに対する説明責任を果たし、企業価値を向上することができるといったメリットもあります。
3.Scopeとは?
ここからはサプライチェーン排出量を算出する際に使用される「Scope」について解説いたします。
ScopeはScope1、Scope2、Scope3と3つに分けられています。
Scope1:事業活動に伴う直接排出量
Scope2:事業活動で使用した熱・エネルギーの製造段階における間接排出量
Scope3:上記以外の間接的に排出される温室効果ガス
Scope3は以下の15のカテゴリ―に分けられます。
カテゴリ | 例 |
購⼊した製品・サービス | 原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達 |
資本財 | ⽣産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上) |
Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動 | 調達している燃料の上流⼯程(採掘、精製等) 調達している電⼒の上流⼯程(発電に使⽤する燃料の採掘、精製等) |
輸送、配送(上流) | 調達物流、横持物流、出荷物流(⾃社が荷主) |
事業から出る廃棄物 | 廃棄物(有価のものは除く)の⾃社以外での輸送、処理 |
出張 | 従業員の出張 |
雇⽤者の通勤 | 従業員の通勤 |
リース資産(上流) | ⾃社が賃借しているリース資産の稼働(算定・報告・公表制度では、Scope1,2 に計上するため、該当なしのケースが⼤半) |
輸送、配送(下流) | 出荷輸送(⾃社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、⼩売店での販売 |
販売した製品の加⼯ | 事業者による中間製品の加⼯ |
販売した製品の使⽤ | 使⽤者による製品の使⽤ |
販売した製品の廃棄 | 使⽤者による製品の廃棄時の輸送、処理 |
リース資産(下流) | ⾃社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働 |
フランチャイズ | ⾃社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動 |
投資 | 株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運⽤ |
4.サプライチェーン排出量を算定するメリット
このサプライチェーン排出量をさんていするメリットは大きく3つあります。
1.削減対象の特定及び削減意識の啓発となること
サプライチェーン排出量の全体像(総排出量、排出源ごとの排出割合)を把握することで、優先的に削減すべき対象を特定できます。また、排出量を具体的に把握することで、長期的な環境負荷削減戦略や事業戦略策定のヒントを導きだすこともできます。
2.他事業者との連携による削減ができるようになる
サプライチェーン上の他事業者と環境活動における連携が強化し、環境負荷低減施策の選択肢が増え、CO2削減が進みます。また、CSR活動の一貫となり、新規顧客開拓へも繋がります。
3.脱炭素に向けた取り組みとしての明確な情報開示ができる
企業の情報開示の一環として、サプライチェーン排出量を統合報告書、WEBサイトなどに掲載することで、環境対応企業としての企業価値を明確に示せます。
サプライチェーン排出量の把握・管理は一つの正式な評価基準として国内外で注目を集めており、グローバルにおいても、投資家等のステークホルダーへの社会的信頼性向上に繋がり、ビジネスチャンスの拡大が期待されています。
これらを理解したうえで、まずは自社でどのくらい温室効果ガスを排出しているのか、その中でどの部分にまだ削減余地があるのかを検討してみることをおすすめいたします。
5.最後に
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