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1.V2Hとは
V2Hとは「Vehicle to Home」の略称で、電気自動車(Vehicle)から家(Home)へ電気を送るシステムのことです。
V2H自体には蓄電機能はなく、電気自動車と併用されます。
通常、電気自動車を導入した場合、家から電気自動車に搭載された蓄電池に給電するという一方向にしか電気の流れはありません。
しかしV2Hを導入することによって、「家から電気自動車へ」だけでなく「電気自動車から家へ」という双方向に充電と給電をすることができます。
カーボンニュートラル達成に向けて世界的に電気自動車の普及が加速しています。
例えば欧州では2035年には二酸化炭素を排出する乗用車と小型商用車の販売を禁止することが決まりました。
これは欧州に限った話ではなく日本においても2035年にガソリン車の新車販売を禁止にする方針です。
EVの世界的な潮流に関しては以下の記事で詳細に説明しています。
https://www.sc-energy.com/column/decarbonization/1081.html
これらを背景に電気自動車の普及が進んでいるため、併用することで高い効果を得ることができるV2Hにも注目が集まっています。
2.V2Hを導入するメリット
V2Hを導入することで得られるメリットは3つあります。
①充電時間を短縮できる
一般的に電気自動車を充電する際は家庭用の200Vコンセントから充電します。
V2Hを導入すれば充電時間をその半分に短縮することができます。
移動が必要な時に充電ができていないという心配を減らすことができます。
②停電時に非常用電源として活用できる
V2Hを導入していれば災害時に電気の供給が止まったとしても電気自動車に蓄電された電気を家で使用することができます。
そのため災害時には非常用電源として電気を活用することができます。
③補助金を活用することができる
V2Hや電気自動車を導入する際に国や自治体から出ている補助金を活用することができます。
令和4年度の補正予算から2つご紹介させていただきます。
【経済産業省】クリーンエネルギー自動車導入促進補助金
こちらは電気自動車等の購入費の一部を補助する事業となっており、CEV補助金(clean energy vehicle)と呼ばれることもあります。
予算 | 700億円 |
補助対象 | 電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車等の購入費の一部 |
補助対象者 | 対象車を購入する個人、法人、地方公共団体等 ※新車新規登録(新車新規検査届出)で、自家用の車両に限ります。 |
補助対象基準 | 令和4年11月8日以降に新車新規登録(登録車) 又は新車新規検査届出(軽自動車など)された自動車 |
補助上限額 | ・電気自動車(軽自動車を除く):上限65万円 ・軽電気自動車:上限45万円 ・プラグインハイブリッド車:上限45万円 ・燃料電池自動車:上限230万円 ・超小型モビリティ;定額25万円(個人)、定額35万円(サービスユース) 次の条件A又はBを満たす車両の場合は、補助上限額が下記のように異なります。 《条件》 A.車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両 B.外部給電器やV2H 充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両 ・電気自動車(軽自動車を除く):上限85万円 ・軽電気自動車:上限55万円 ・プラグインハイブリッド車:上限55万円 ・燃料電池自動車:上限255万円 ・超小型モビリティ:定額35万円(個人)、定額45万円(サービスユース) |
参考:経済産業省
【経済産業省】クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充填インフラ等導入促進補助金
こちらは電気自動車等の充電設備やV2H充放電設備の購入費や工事費に使用することができる補助金です。
予算 | 200億円 |
補助対象 | 「充電設備」や「V2H充放電設備」の購入費及び工事費の一部、 「水素ステーション」の整備費及び運営費の一部、「外部給電器」の購入費の一部 |
補助対象者 | 対象設備を設置する個人、法人、地方公共団体等 (ただし、「充電設備」は複数人が使用可能であることを条件として、個人宅への設置は対象外。) |
補助率等の具体的な要件については今後公表される予定です。
参考までに令和3年度補正予算・令和4年度当初予算の概要をご紹介いたします。
・V2H充放電設備
設備費:上限75万円(補助率1/2)
工事費:上限95万円(法人)(補助率10/10)
40万円(個人)(補助率10/10)
・外部給電器
設備費:上限50万円(補助率1/3)
水素充填インフラ整備事業に関しては水素供給設備の規模、供給方式等を加味した上で1/2~2/3の補助率となっています。
参考:経済産業省
その他の令和4年度の補正予算情報に関しては以下の記事をご覧ください。
https://www.sc-energy.com/column/subsidy-tax/1093.html
3.V2Hと太陽光発電の併用がおススメ!
V2Hを導入する際は太陽光発電と同時に併用することによってより大きなメリットを得ることができます。
① 非常用電源として長期間活用することができる。
電気自動車のみでも災害時の非常用電源として活用することはできますが、蓄電された電気を使い切ってしまう可能性もあります。
太陽光発電を同時に導入することによって長期間停電してしまった場合でも継続して発電して電気を使うことができます。
日中発電した電気を電気自動車に蓄電することによって、夜間でも電気を使うことができます。
蓄電は家庭用蓄電池でも可能ですが、電気自動車+V2Hの方がメリットが多くあります。
V2Hは蓄電機能をもたず、電気自動車と併用されるものです。
家庭用蓄電池と電気自動車+V2Hを導入する際の違いは以下のようになっています。
家庭用蓄電池 | 電気自動車+V2H | |
容量 | 約4~16kWh | 約40~100kWh |
補助金 | △(なくなる方針) | 〇 |
停電時の切り替え | 〇 | △(機種による) |
電気自動車への充電 | 標準 | 高速 |
上記のように蓄電池を活用することが目的であれば、電気自動車とV2Hを併用して導入した方が機能面でも高い効果を発揮することができるといえます。
家庭用蓄電池の容量は一般的に約4〜16kWhとなりますが、電気自動車は約40〜100kWhの蓄電が可能です。
そのため太陽光で発電した電気をより多く活用することができます。
②電気代の削減が可能
近年、電気料金を構成する燃料調整単価や再エネ賦課金の上昇によって電気料金が高騰しています。
太陽光発電システムを導入することによって電力会社から購入する電気の量を減らすことができます。
電気自動車に充電する際にも、太陽光発電システムで発電した電気を使うことで、電力会社から購入する電気の量を減らし電気代を削減することが可能です。
蓄電池、充電システム、太陽光発電の導入を検討の方はお気軽にお問い合わせください。